配偶者や子供がアルバイト等を始める場合や仕事を辞めた場合に扶養から外れてしまうのか、又は扶養にすることにできるのか、とても気になる問題かと思います。実は「扶養」の考え方は所得税と社会保険では少し異なります。

所得税の扶養

その年(1月~12月)の給与収入が1,030,000円以下であること。

①妻が就職した場合

妻の年間の給与収入が1,030,000円以下であれば、夫は配偶者控除を受けることができます。年の中途で就職した場合などは、例え妻の月収が300,000円だとしても、その年の給与収入は1,030,000円以下であることも考えられます。その場合には夫は配偶者控除を受けることができます。
ただし、妻が就職前にパート等をしていた場合には、その給与も合算して判定することになります。

②妻が退職した場合

月収150,000円の妻が平成27年10月に退職した場合、平成27年の妻の給与収入は1,500,000円となります。平成27年の給与収入は1,030,000円を超えますので、平成27年分の所得税について夫は配偶者控除を受けることができません。それ以降妻に所得がないのであれば、平成28年分以降については夫は配偶者控除を受けることができます。
仮に妻の退職が平成27年6月であれば、平成27年の妻の給与収入は900,000円となりますので、年間の給与収入は1,030,000円以下となります。従って平成27年分から夫は配偶者控除を受けることができます。
また退職にあたり失業保険の受給があったとしても、失業保険は所得税の計算上非課税なりますので、妻本人の所得計算はもちろん、上記の1,030,000円の判定にも影響しません。

社会保険の扶養

申請してからの1年間の給与収入見込が1,300,000円未満であること。

①妻が就職した場合

妻の月収が300,000円の場合、就職後1年間の収入見込は3,600,000円となります。1年間の収入見込は1,300,000円を超えますので、すぐに夫の社会保険の扶養から外れることになります。妻は就職した会社の社会保険に加入するか、個人で国民年金及び国民健康保険を負担するか、どちらかになります。
妻の月収が108,334円未満であれば、1年間の給与収入見込が1,300,000円未満となりますので、引き続き夫の社会保険の扶養のままでいることができます。

②妻が退職した場合

妻が退職した場合には、退職以降1年間の給与収入見込は0円となりますので、退職以降夫の扶養に入ることができます。
注意しなければならないのが失業保険です。社会保険では失業保険も1,300,000円の判定に含まれますので、失業保険の受給金額が108,334円/月以上である場合には、失業保険の受給期間中は夫の社会保険の扶養に入ることはできません。
また、上記とは関係なく「失業保険を申請する場合は社会保険の扶養手続きは認めず、失業保険の受給が終わってから手続きをして下さい」と規定している会社も多いそうです。

(H27.6月 担当:柏原)