節税をする為には、一般的にはそれに見合うキャッシュが社外に流出してしまいます。
しかし、中にはお金が出ていかない、それどころか、お金が入ってきても節税となるようなケースもあります。

棚卸の評価方法の見直し

法人税法では、棚卸資産の評価方法は「最終仕入原価法に基づく原価法」となっています。
(評価方法の届出をしていない場合。)

これは、商品等の在庫の金額は、期末に最も近い時点での仕入単価で在庫を計算するもので、メリットとしては在庫計算が簡単だという事があげられます。
しかし、期末で仕入れ単価が大きく上がった場合などには、本来の在庫金額よりも高く評価される可能性もあります。(低く評価される可能性もありますが・・・)
在庫金額が大きくなると、利益もその分増えるため、法人税等も増える事になります。

また、「最終仕入原価法に基づく原価法」と「最終仕入原価法に基づく低価法」でも評価が変わってきます。
売れなくなってきた商品の在庫などは、新規に仕入をしないと思いますが、売れる時期に仕入れた商品の残りが、そのまま期末まで残っている場合などには、今の時価よりも評価が高くなってしまう可能性もあります。
その場合、「低価法」を選択している場合には、「原価法による評価額」と「現在の時価」のいずれか低い金額で評価をする事が出来ます。

上記の他にも評価方法がありますので、自社にあった評価方法、評価基準を選択しましょう。

不良在庫、不要な資産の処分

倉庫に眠っている通常では売れないような商品(いわゆる不良在庫)はありませんか?
「そのうち売れるかもしれない!」と思って持っていても、古くなればなるほど売れなくなっていくものです。

そのような場合には、思い切って在庫を処分してみてはいかがでしょうか?
赤字覚悟の在庫処分セールでも良いですし、場合によっては廃棄しても良いと思います。

商品を在庫で持っていても経費とはなりませんが、売却や廃棄処分をすることにより損金とすることが出来ます。

また、商品が「著しい陳腐化」している場合には商品を持ったままでも、評価損を計上できる場合があります。

古くて売れないような在庫を大量に持っていては資金繰りの悪化にもつながりますし、倉庫の無駄にもなります。
在庫の見直しをしてみませんか?

債務免除の検討

売上を計上したけど、回収が出来ていない。
色々と理由を付けて払ってもらえないケースや、資金繰りが苦しくて、払う意思はあってもなかなか払ってもらえず、結局、「倒産をしてしまった」なんて事があるかと思います。

最終的に「倒産等」となってしまえば、切り捨てられた債権は「貸倒損失」として損金にできますが、連絡がとれず夜逃げ状態の場合などでは、貸倒損失とする事が出来ない可能性があります。

相手の状態をみて、回収が不可能と感じたら「債務免除」を検討する価値があると思います。

「債務免除」をするのにも一定の基準はありますが、内容証明等により、相手方に債権の放棄を伝えた場合には、その放棄した金額が損金となります。
(相手方の状態によって、回収が不可能でないと判断されると、相手方に対する寄付金と判断される可能性もあるので注意が必要です。)

また、「継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき」などの場合にも貸倒れとする事が出来る場合もありますので、長期間滞留している売掛金については、貸倒れの検討をしてみましょう。