連載「なるほど!確定申告」も3回目になりますが、今回は3月31日申告期限の「消費税申告」がまだ終わっていない方々のために、個人事業者の消費税のポイントを整理しておきましょう。
1.平成27年分の消費税の納税義務があるかどうかは、原則、平成25年の課税売上高をチェック!
消費税の納税義務があるかどうかは、原則、前々年の消費税の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかによって決まります。
ですので、今回申告すべき平成27年分の判定は、前々年の平成25年の課税売上高ですることになります。
例外として、平成25年以降は「特例期間(※1)の課税売上高と給与総額」のいずれもが1,000万円を超えた場合には、仮に前々年の課税売上高が1,000万円以下であっても納税義務が発生することになりました。
具体的には、平成27年分の判定は、平成26年1月〜6月の「課税売上高」と「給与総額」の両方ともが1,000万円を超える場合には、消費税の納税義務あり、となります。
※1 特定期間とは、個人事業者の場合、その年の前年1月1日から6月30日までの間
(相続があった場合には、その他例外があります)
2.課税売上高の1,000万円判定って、消費税込み? 消費税税抜き?
こちらもよく悩まれるポイントですが、消費税の納税義務があるときの課税売上高は消費税抜きとなり、納税義務がないときの課税売上高は消費税込みとなります。
たとえば、前々年の売上高が消費税込み10,800,000円(消費税8%)だったとします。
・前々年が消費税の課税事業者である場合は → 課税売上高は税抜きで判定 → 課税売上高10,000,000円となり、当年は免税事業者となります。
・前々年が消費税の免税事業者である場合は → 課税売上高は税込みで判定 → 課税売上高10,800,000円となり、当年は課税事業者となります。
3.課税売上高には事業用固定資産の売却額も含まれる!
こちらもドキッとされる方がいらっしゃるかもしれません。
事業収入や不動産賃貸収入でギリギリ1,000万円を超えない方が、たまたま事業用の車を売却されたとします。
実はその車の売却額、1,000万円判定の課税売上高へ入れなくてはなりません。要注意ですね!
ただし、あくまでも含めなくてはいけないものは「事業用」資産の売却であって、もしこれが家事用のマイカーの売却である場合は含める必要はありません。
4.不動産収入のうち、「土地の貸付」や「住宅の貸付」は消費税が非課税!
不動産オーナーさんで年間の不動産賃貸収入が1,000万円を超えている場合でも、その賃貸内容によっては消費税の納税義務が発生しないケースがあります。
これは消費税法上、「土地の貸付」「住宅の貸付」は非課税とされているためでして、たとえば、賃貸収入のうちに「土地の貸付」「住宅の貸付」の収入が含まれている場合には、それらの収入を除いた金額で課税売上高の1,000万円判定ができる、ということです。
さらに細かなポイントとしては、「土地の貸付」= 消費税非課税ですが、例外として課税とされるものには、「1ヶ月未満の短期のもの」「砂利敷き&線引き、アスファルト駐車場」「テニスコートやグランドなどの施設」などが挙げられます。
また、「住宅の貸付」= 消費税非課税ですが、例外として課税とされるものには、「1ヶ月未満の短期のもの」「契約書上、居住の用とされていないもの」「旅館業」「店舗兼住宅のうち、店舗部分」などが挙げられます。
まだまだ書ききれない消費税のポイント、次回以降にまで続きそうです!
消費税の申告についてお悩みの時も、お近くの税理士や会計事務所へご相談ください!
初出:クラウド円簿(2015.3.9) https://www.yenbo.jp